流通オキザリスの覚書 - フラバに含まれるもの #

おそらくこれらはみんな Oxalis flava の中に含まれるだろうというものたち

特に学名とかもなく流通しているものから、全然違う種の学名がついて流通しているものまで数多くあります。後者に関しては少し確認したら引っ掛かりがあるはずなので売る側もう少ししっかりしろ案件でもある

あ行 #

オータムクイーン #

中花柱花 / ピンク花

00年代の情報がネットに残っていることからも、古くより流通していた品種であることがわかります

オータムチャイルド #

同じくこちらも古くからある品種のようです

オータムピンク #

長花柱花 / ピンク花

非常に小葉の枚数が多いタイプのうちの1つ。他のものと比較して、花柱のタイプが異なる点で容易に判別ができそうです。2022年までは出荷されていた記録あり、2023年は同一の体裁の商品として別種は見られたものの、自分の行動範囲では確認できず

オータムレモン #

中花柱花,短花柱花 / 黄花

このラベルのポット苗を今年は入手することができたのですが

  • 中花柱花の個体
    • 萼片の赤身が強く黄色のしっかりした個体
    • 萼片の赤身がそこまで強くなく、薄黄色の個体
  • 短花柱花の個体

の3タイプの個体が混在しているのでは……?となっています。中花柱花の2個体が、遺伝的な差異なのか同一クローンでありながらも、環境への応答の様子が違うので異なる結果が見えているだけなのか……に関して調査中です。短花柱花は全体でみると稀な存在なので、中花柱花の方が本来のオータムレモンではないかと思われますが、なぜ似たものが混ざる

短花柱花の個体

中花柱花・黄色の濃い個体

中花柱花・黄色の薄い個体

か行 #

ゴールドアイランド #

短花柱花 / 黄花

花弁の裏の赤色が目立つ黄花の品種。この名称のラベルで流通している鉢物に、ピンク花1タイプ(おそらくはパルマピンク?)と黄花2タイプ(本来のゴールドアイランドと思われるものと、もう1つ長花柱花)が混ざっているものがあるため、違うものもゴールドアイランドとして二次流通する可能性がありそうです

ゴールドカップ #

/ 黄花

古い記録で名称の出てくる品種、近年は流通がない?

さ行 #

桜姫 #

中花柱花 / ピンク花

ポリフィラの変種ヘプタフィラということになっていたりしますが、実態はこれもフラバだという品種もの。そして海外の方の情報によると実はこれMVナンバーのついているものだったらしく、どういう紆余曲折があってその辺を失いつつ日本語の名前がついて流通することになったのか謎が多いです

シャイニングライトピンク #

中花柱花 / ピンク花

ペンタローズに酷似しているピンク花。同じ生産者のものと思われる長花柱花・黄花のフラバのシャイニングゴールドや黄花のプルプレアのシャイニングイエローと同一デザインのラベルで流通しているようです1

白花フラバ #

短花柱花 / 白花

白花と名前にはついていますが、表面はうっすらとピンクの乗った白色 / 裏面は白とは言えないほどにカラフルな色をしています。本当の意味での真っ白な花、というのはフラバではなかなかないのかもしれません

な行 #

ナマクエンシス #

短花柱花 / 黄花

namaquensis という学名は他の属にはありますが、オキザリスにはそのようなものはなく(Oxalis namaquanaという種はあります)、なんか学名っぽい名前が付いているだけのフラバの1クローンとして見るのが正解のようです。初出かは不明ですが、2001年時点で小森谷ナーセリーのリスト中に「ナマクエンシス」の文字が確認できます

ゴールドアイランドとして入手したものに短花柱花で花の色・形ともに似ているという…共通点の多いクローンが確認できたので、今後両者にどの程度の差異があるのか確認できればと思っています

ニューイエロー #

長花柱花 / 黄花

オキザリス・フラバは全体でみると長花柱花が少ないようですので、それだけで1つの個性にはなるのですが……栽培していながら「ニューイエローはこういうところが個性だよ」というのをなかなか見出せずにいます。ラベルのデザインは違いますが、パルマピンクとセットで出荷されるようです

は行 #

パルマピンク / 複数タイプ有り? #

中花柱花 / ピンク花

この名称で流通しているポット苗と、夏植え球根として流通するもののパッケージ写真に不一致が見られるので、もしかすると数タイプこの名称で流通している可能性があるのでは?となっています。球根がなかなかこっちまで出回らないので検証できず……

ファバエフォリア (fabaefolia) / 正式名 Oxalis flava var. fabifolia #

中花柱花 / 黄花

記載時は豆のような葉をしているからfabae (豆)+folia (葉)と言う名称がつけられていたのですが、どうも単語の変化としてこれは間違っていたらしく、 fabifoliaと校正された状態で扱われています。そこって外部から手直ししていいんだ……というところで少し驚きのある学名ですね

この変種として重要な点は葉柄に翼があることであり、流通する唯一のクローンは小葉の枚数が2と少ない点が印象的ではありますが……ファバエフォリアであるかどうかにおいては重要ではないようです。自生地写真2では非常に小葉の枚数の多いファバエフォリアを確認することができます

フラバの中では大型の花で、花色はかなり淡い黄色寄りと言えそうです

この色の淡さは花弁の表面だけにとどまらず花弁の裏側や、萼片などの植物自体の色にも出ているようで、色の濃いナマクエンシスと比較すると両者の違いがよくわかります

フラバ / 複数タイプ有り #

中花柱花 , 短花柱花 / 黄花

以前より「フラバ」だけのラベルで流通しているポット苗があるのですが、そのポット中に、最低でも3タイプの異なるクローンが確認されています。自分が24年に確認できたのは近所に入荷していた2ポットのみなので、出荷元が複数タイプを把握した上で均等になるように入れているのか・生産現場でかなり入り混じった状態で生産されているのか・4タイプ目の存在はあるのか……分からない状態です

また、これとは関係なく基本的にどんな品種であろうとフラバはフラバなのでここで書いている以外のものもフラバの名称で流通している・今後流通する可能性はあります

フラバ・ピンク #

/ ピンク花

アルペンガーデンやまくさ にて確認されている名称。小葉の枚数は多く・ピンク花に多い中花柱花をしており……球根で流通するパルマピンクのパッケージ写真に登場するものと似ているのですが検証できず

フラバ・ホワイト #

/ 白花

アルペンガーデンやまくさ にて確認されている名称。白花フラバとの相違点があるのかが鍵

フラバ・ラベンダー / ラベンダーフォーム #

↓で出てくるルピニフォリアの1タイプと呼べそうな小葉をしている

フラベリフォリア / Oxalis flabellifolia #

黄花

現在ではシノニム扱いになっている意見がある(POWO等)一方、基本的に別種として流通しているようです。以前に流通していたタイプと、現在入手できるものが同一のものかは要検証

ペンタピンク #

/ ピンク花

ネット上の記録を見ると、おそらくペンタローズとの混同ではないか?となるタイプと、こっちが本当のペンタピンクだろうというタイプ3と、2タイプの異なるフラバがペンタピンクとして紹介されています

ペンタローズ #

中花柱花 / ピンク花

ら行 #

ルピニフォリア / Oxalis lupinifolia #

長花柱花 / 白花

ルピニフォリアは現在では有効とされていない学名。名前の来ているルピナスからイメージできるように、小葉の幅が広いようなものを指し示しているようです。国内にルピニフォリア呼称で流通しているものは

  • 後述する黄花のタイプ
  • 白花のタイプ
  • カクタス長田由来のロカリティつきのもの

などがあるようです(2番目と3番目が同一の可能性あり)

それ以外にも、フラバ・ラベンダー などはルピニフォリアの範疇と呼べる小葉をしているので、このタイプの葉を目当てにする場合は候補になると思います

ルピニフォリア (イエロー) #

/ 黄花

イエローの表記の有無はブレがありますが、ルピニフォリアとして出てくる中では一番?入手機会が多いものかもしれません(繰り返し出品している方がいた)

英字(学名等) #

flava var. pectinaria #

黄花

国内でも販売された記録が残っているので存在しているようです(海外で取り扱っているところがあるのでそこから輸入したものか)。こちらも現在は有効な学名としない意見が強く、ただのフラバという扱いになっているようです

flava Pink Form #

/ ピンク花

海外通販にて確認。小葉の数が多く、波打ったような見た目になるのが特徴のようです

flava Yellow Form #

/ 黄花

海外通販にて確認。フラバはその学名からも基本的には黄色のものという

Napier / sp. Napier / ネイピア #

どれが一番表記として多いのかとか、ネイピアの読みが正しいのかはわかりませんが……複数の表記があるようです。Napierは地名なので、そこで採集されたものということなのでしょう

polyphylla var. heptaphylla #

この名称で流通している細い小葉・ロゼット状に葉が展開される地上茎のない種類は決してポリフィラではなく、フラバの1タイプです。ポリフィラがどういった植物か……に関しては流通の多いペンタフィラが参考になります。あれを基準にするとかなり形態が違うので別種ということにも納得ができるかと

同じくpolyphylla var. heptaphyllaということにされている桜姫 とはかなり似た姿をしており、植物を一見しただけではかなり判別は困難と思われます。もしかすると出身となった群落などが近いのかもしれません

桜姫とpolyphylla var. heptaphyllaの花

花も印象としてはかなり似ているのですが、花柱の長さが異なるのでそこを判別点とすれば間違えることはないと思われます。それ以外だと表面の光沢感の違い・花弁の縁の形状の差異・裏面のストライプの色彩などが見分けるポイントになりそうです

sp. Gifberg #

短花柱花 / 白花

ロカリティ付きのsp.――未同定種として流通しているものですが、どう見てもフラバですよねとなる個体

白花ではありますが、植物全体を評価するとかなり赤系の色素の発色が強く、葉の色や花柄などにそれが反映されているという印象です。花も表面こそ白系ではありますが裏は非常にはっきりした赤色のストライプが確認できます

sp. ‘軍配’ #

こちらもGifberg産の来歴がはっきりしているクローンで、葉柄の雰囲気的にはfabifoliaとしてもいいのかな?という翼が少し見られます。大型になるようで、倍数体であるという情報も海外の方より聞いております。交配して試してみたいけどなかなか出てこないし高い……

微妙に翼があるのでもしかしたらfabifoliaの範疇になるのかもしれません。小葉自体も幅広なので、その点では無効な学名ではありますがルピニフォリア的でも……ありますが、fabifoliaが結構そういう小葉をしているものが多いですね